スーパーウーマン、アスカの娘、ツバサ=フィオ=イカリ。今日も可愛くて明るいアスカママと一緒でご機嫌。
優しくて強いパパ、碇シンジは、娘には大甘の子煩悩。素敵なファミリー碇一家はどこでも羨望の的!
しかし、この一家には大きな秘密が隠されていたのです・・・。
そう、この家の2人の女性は、娘もママも、天才だったのです。(笑)
アスカ!25時
第弐話 前編 - 碇家の日常? -
こめどころ
♪ぴろりんぽろりん♪
お昼の12時。シンジが帰ってきた。
「パパー、おかえりなさーい!」
「しんじ、おかえりなさーい!」
争って迎えに出るアスカとツバサ。
アスカがドアを開けるが早いか、ちょろちょろっとママの足元をすり抜けて、
ツバサがシンジのおなかに飛び上がってしがみついた。ネクタイを引っ張る。
「いたたたた!ツバサ、参った参った。」
満面の笑みでシンジからほっぺたにキスをしてもらったツバサは、
「今日も、私のかっちい〜〜!」
とさけんだ。アスカは膨らみかけのホットケーキのような顔をして文句を言う。
「ずるい!ここんとこ、いつもいつもツバサばっかり。」
「あはははは、いいじゃないか、次は必ずアスカなんだから。」
「一番と二番じゃありがたみも味も違うんだから。」
ちゅっ!
きれいな音を立ててくちづけを決める二人。結婚して6年。慣れたものだが、心はいつも新婚の二人だった。
見た目もアスカはほとんど変わらない。少し胸が豊かになったかな、という程度。
激しい実戦や訓練を積んでいるからダイエット効果は抜群だ。制服を着ればまだ高校生で通りそうな、
童顔で少し小柄(本人はコンプレックスを持っている。)な、明るく可愛い少女のようなお母さんである。
家庭に一旦は入ったのだが、広域特捜警察たってのねがいで、2年で現場に復帰。変わらない働きを見せる
超ウルトラスーパーキャリアウーマンである。ただしアルバイトなんだけど。
「私の主戦場は、あくまで家庭にあるのよっ!」
というのが本人の弁。
シンジも同様に昔に比べてぐっと逞しくなり、背も少し伸びたが、元々着やせするタイプなので見た目は相変わらず。
頼りなげな感じがしない事もない。が、これでも特務捜査官として抜群の体力と知識が装備された身体なのだ。
「あなた、お風呂沸いてるわよ。入ってから寝た方じゃない?」
「うん、そうするよ。」
ネクタイを外しながら応える。背広とズボンをアスカに渡し、ワイシャツを脱ぐ。
そこにいろいろなおもちゃを山のように抱えたツバサちゃんが登場。
「パパ、パパ、一緒にお風呂はいろう!」
「パパは疲れてるから、また明日ね。」
「いやっ。おとといも今度って言ったじゃない!今日はママと3人ではいるのっ!」
「ええ〜っ、3人でぇ!恥ずかしいよお、昼間から。」
「昼と夜で恥ずかしさって変わるの?ママ。」
「・・・そ、そんな事ないけどさ。」
と言いながら、アスカがちらっとシンジの方に目線を走らせるとシンジは笑っていた。
「よーし!3人で入ろう!」
「きゃー、あなた、シンジやめて、乗りやすいんだから。」
と言いながらもエプロンとシャツをシンジとツバサに奪われてしまうアスカ。
どっぷーん!!どっぷーん!
とぷーん!
「ああ、いい気持ちだねえ。」
「お風呂だけは贅沢して良かったわね。」
「パパ、これこれ。オレンジリンデンバウム。」
広い浴槽に、ツバサがドイツ製のクナイプ入浴剤を入れる。アスカが大好きなブランドである。
他にも、ラベンダー、カミツレ、などさまざまなハーブ入浴剤がそろっている。
ツバサがばしゃばしゃとかき混ぜると泡が立つ。ちょっとしたバブルバス気分だ。
泡を頭に載せたり、ひげを作ったりと大騒ぎ。くたくたに茹って3人はお風呂を出た。
さんざん遊ばされて、今度こそくたくたになってシンジは座布団を枕にして眠ってしまった。
「ママ、パパ眠っちゃったよ。」
「疲れてるのよ、静かにしておいてあげましょう。その間にお買い物に行こうか。」
「うんっ!本屋さんにも寄ってね。」
「はいはい。」
シンジにコットンファーを掛けながら、アスカは夕食のメニューを考える。鰆のソテーなんかいいかな。
二人は結局近所のスーパーMJ屋に行く事にした。てくてくと商店街を歩く。
昔ここで派手に暴走族と一戦交えた事があったなあ。あのころはまだ家政婦の綾波さんがいて、
一緒に戦ったものだったわ。おもしろかったなあ。
「ママ。また好戦的な事考えてたでしょ。」
娘がにやにやと見抜いたような事を言う。ぎくっとするアスカ。
「ここで、バイク数十台を向こうに回して、大立ち回りしたんだって?」
「ど、どこでそれを・・・。」
「タバコ屋のおばあさんとか、駅前派出所の巡査部長さんとかが教えてくれたわ。」
当時の新人警官も、もはや巡査部長である。月日の経つのは早い。
「お父さんには、絶対内緒よ。」
「アスカ伝説が今更2,3個ふえたって、パパは驚かないと思うけどなあ。」
「地元でやらかしたとなれば、ちょっとは違うわよ。」
頬を染めたアスカを見て、ツバサは、可愛いなあ、ママは。とおもう。
それが夫婦円満の秘訣かしら。天才児ツバサは思う。
保育園から飼い慣らしたら、理想の男の子になるかなあ。
突然、アスカが立ち止まる。
「何,ママ。」
「あそこ、見て。」
シャッターががらがらっと閉まっていく東中野信用金庫。その裏手に怪しげなバンが停まっている。
プレートを見ると長崎だ。そうそうあるNo.ではない。しかもエンジンが掛けっぱなしで誰も乗っていない。
よく見るとロックすらかかっていない。
「わたし、駅前交番にいってからパパ呼んでくる!」
ツバサが走り出した。わずか5歳とはいえ、50mを7秒で走る足だ。
「おねがいっ!」
言うが早いか、アスカは信用金庫の隣のビルを6階まで駆け上がっって屋上に出た。
そして、3mほど離れた信用金庫の屋上にひらりと飛び移った。
鍵がかかっているが、ヘヤピン一本で10秒で開けてしまう。特捜の捜査官には簡単な事だ。
2階まですたすたすたと静かに駆け下りると、異様な緊迫感と共に女の子達のすすり泣きの声が聞こえてきた。
アスカ!25時 第弐話 前編 おしまい。 さあ、後編 に続きます。
Feb.3.2000