スーパーウーマン、アスカの娘、ツバサ=フィオ=イカリ。

今日も可愛くて明るいアスカママと一緒でご機嫌。

優しくて強いパパ、碇シンジは、娘には大甘の子煩悩。

素敵なファミリー碇一家はどこでも羨望の的!

しかし、この一家には大きな秘密が隠されていたのです・・・。

そう、この家の2人の女性は、娘もママも、天才だったのです。(笑)



アスカ!25時

第四話 「蒸発」

こめどころ




「だからさあ、あーはっはっはっ!!」


さっきから大声で笑っているのはご存知「桜田門の大うわばみ」「皇居掘りの主」との

呼び名も高い、葛城ミサト、もとい、加持ミサト警視正である。

警察は別に酒の量で出世が決まると言う事はないのだが、(決してありません)

こういう人事を見ていると、


「わははははは!面白いやつだ、よしおまえ次の試験で警視な。」


などと言う事が、まかり通っているのではないかと危惧を抱く人も多いだろう。

重ねて言うが、


「そういうことは決してありません。」


これが広域特捜警察の公式見解である。


この酒徒ミサトの御主人が、広域特捜のNo.1.加持リョウジ警視総監である。

何故わざわざこんな女を女房にするのか?特捜7不思議の一つである。

(ちなみに謎の2番目はブロマイド売れ行きNo.1美女のアスカ・ラングレー・惣流が

何故交番勤務の平巡査と結婚したか、である。)

いつの時代にも、当人達にしか分からない事ってあるんだなあ・・・・。






特捜警察 第142会議室。


「・・・以上の通り、東中野信金強盗事件、ティニーランド電算ハッキング事件、この二つの事件に関連性が

あることが、かなりの蓋然性をもって疑われる。」

「現場に警察の注意を引きつける陽動の意味が一つ。さらに、碇アスカ警部の拉致、碇ツバサ嬢の誘拐を

くわだてた事も、取り調べの結果明らかである。」

「陽動と言う事からには、別件の目的があったはずだ。」

「先に 国家重要機密漏洩罪で逮捕した菱川重三の奪還が目的と考えられます。」

「あの件か・・・。」

「彼らの銃器ルートは殆ど一つと考えられます。日本海から新潟経由で入っています。」

「6年ほど前につぶした青のルートか。」

「最近また動きが活発化しています。あれに、碇警部らが絡んでいましたね。」

「ロシアウラルマフィアの件も先の碇総監から、この一家につぶされています。」

「意趣返しというわけか?」

「まさか。それだけで動くような連中ではあるまいよ。」

「大体菱川の絡んでいた国家機密の内容が漠然としすぎていて証拠を絞れません。あくまで内調の依頼で

動いただけと言う事では、仮想の話しか出来ない。何か別の要因があると言う事だな。」

「すまんが、それを明らかにする権限を与えられていない。上層部は把握していると言う事だけ知っておいて欲しい。」

「それを根拠にして、指示通り動けと。ずいぶんな話じゃないですか。」

「組織としての仕事だ。やり辛いだろうが今は我慢してくれ。捜査内容はコピーの通り。この場で読んで欲しい。

複写、持ち帰りは不可だ。」


捜査官が各自のコピーを読む。

「以上だ。特命ある者は別途指示する。」


「解散!」


「アスカは残って頂戴。」


ミサトがアスカに声をかける。
シンジはアスカをちらっと振り返って先に出ていく。


「これは、完全に知られているようなのよ。」

「こういう日も来ると思っていました。先日の遊園地の一件以来覚悟はしています。」

「シンジ君には?」


かぶりを振るアスカ。心なしか顔が青ざめている。


「こちらとしても万全の準備はしているから。でも、今日から勤務には及ばないわ。」

「はい。」

「拳銃その他の武器は従来通り使用、所持の許可が下ります。」


アスカはそのまま会議室を出るとロッカールームの私有物もすべて攫い、着替えて自宅に向かった。

桜がおわり、いつのまにか木々が若葉に包まれている。

アスカの赤いサイドカーが皇居を後ろにし、麹町の角をゆっくりと回っていく。

10年前までここは海の底であった。

再び在りし日の東京を呼び戻したいという心が堤防を築き、大規模排水を行ってここを再び人の住める町にした。


「私たちの仕事は、荒れ果てた人の心に何かをもたらすだろうか。」


いつもアスカの心に引っかかっている疑問。

起きてしまった事をより強い暴力を使って矯正する。いつもいたちごっこの仕事。


「人の、難しい事ではない、日常を守ろうとする心の後ろ盾。バックアップ。それが私たちの仕事。」


アスカは、夢想家ではない。平和な日常が常に無法な暴力にさらされている事を知っている。

それをバックアップしなければすぐに枯れ果ててしまうひ弱な花。それが私たちの平和な日常。

私は、ひつじの丘の番犬だ。

だが、より強い敵が現れた時、まっさきにかみ殺されるのは私だ。それが私の仕事。

シンジのママがシンジと夫を命を懸けて守ったように私も娘と夫を守る。そして人々も守る。


私の命はそのためにある。




くりくり保育園。

まだ11時なのに迎えにやってきたアスカを迎えたのは、若い摩耶先生だった。


「あら、今日は随分早いんですね。今みんなで水浴びしてるんですよ。あったかいから。」


廊下を通り抜けて中庭に出るとビニールプールの回りで、陽光の中、子供たちが大騒ぎしている。

いつのまにか泥遊びに変更になったらしくて、真ん中のあたりの子供たちは真っ黒になっている。


「あっ、ママーッ!!」


ツバサが飛んできた。ピンクのパンツ一丁で、御自慢の金の巻き毛も、全身も泥だらけでまだらになっている。


「あら、随分素敵な格好ね。」


思わず吹き出すアスカ。まるでイボイノシシの子供のように泥がかぶったところが乾いて薄茶になり、さらに

其処に泥が付いて、2重3重に泥の皮膚が形成されている。


「どこのお姫様かと思ったわ。」

「そんなに面白い格好になってる?」


耐え切れなくなって大声で笑ってしまうアスカ。


「この後みんなでお風呂に入るんですけど、きれいになってからお帰りになったらいかがですか?」

「この格好で帰るのも面白いけど・・・。」


管理人さんがツバサのこの格好を見たら大笑いするだろうな。という考えが誘惑するが、ツバサは


「もうお風呂に入る!」


と言い出した。このまま町中を歩かされるのはたまらないと思ったのだろう。

実際アスカならやりかねない。


そのあと、アスカと摩耶先生は二人掛かりで18人の5歳児を風呂に入れ、園長先生と、もう一人の先生が

タオルでごしごしと拭きまくった。裸がうれしい幼児達はなかなかつかまらない。パンツもはかずに部屋中を

駆け回る。洗い終わって戻ってきたアスカ達と広い部屋中を追い掛け回して逮捕して、拭いて、パンツをはかせ、

シャツとスモックを着せて・・・・。


「ひいひい、犯罪者相手の方がずっと楽だわ。」

「あっ、俊ちゃんたちまたどろんこあそびしてるよー。」


女の子達の通報で再び泥に親しんでいた男の子達3人を拿捕し、みぐるみ剥いで再び風呂に投げ込む。

その間にまた更なる違反者が・・・。



結局園を出る事が出来た時には1時を回っていた。


「すみませんでした。」

「ほんとに、大変なお仕事ですね。」


摩耶先生とアスカはへとへとになって別れた。赤いサイドカーが角を曲がり、

振り向いて手を振るツバサに手をふりかえす。










摩耶先生がツバサとアスカを見たのは、それが最後だった。






アスカ!25時 第四話 -蒸発-続く。


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