星の彼方に見た夢は
第壱話 「はじまりのはじまり」(1)
その明かりは、シリウスのような冷たい青の輝きを持って北半球の夜空を横切った。
続いて、金星クラスの暖かい蜜のごとき輝きを持ってもうひとつの星が流れた。
その夜の天体観測者はめったに無い僥倖に巡り合えた事を感謝して明け方の眠りに就いた。
「やあ、昨日の連続流星をみたかい?」
いきなり背中を叩かれた。
「ああ、カヲルくん。見た見た。興奮しちゃってなんかよく眠れなかった。」
「実に美しかったね。また、軌跡が殆ど同じに流れるというのも珍しい事だよね。」
「時間差ではほんの30秒くらいだったでしょう?」
「ああ、まだ前の軌跡が目に消えないうちに、もうひとつが殆ど重なって流れて・・・。」
カヲルくんは、ウットリとした顔で言った。彼は僕らの天体愛好会の会長だ。また彼の星の詩を聞けるかな?
僕の名前は碇シンジ。第3新東京市、第一高校に通っている、普通の高校2年生だ。
去年の春の連休に、僕はクラスメートの渚カヲルくんといっしょに新しい同好会をつくった。天体愛好会。
ぼくたちの天体愛好会は望遠鏡で観測を行ったり、座標を取ったりして流星の軌道を書き留めたりする事はしない。
ただ夜空をひたすら眺めて、遠き宇宙や、まだ見ぬ未来や、はるかな過去に思いをはせるという趣旨で活動を行っている。
だから、天文部は学校に別にある。むしろ文学部や歴史部に近い事をやっているかも知れない。
ただそれが、星を眺めながら思い付いた事を中心に展開されるという事で・・・・。
夜の2時ごろまでは受験勉強や、インターネットをやってるやつもいるので、その日の流星はけっこう話題になった。
その時まで僕の高校生活には何一つ変わった事はなかったんだけどね。
その日の授業が終わり、僕は家路に就いた。どこかの局で今朝の流星のニュースをどこかで流すかもしれない。
急いで家に帰ってニュースを洗いざらい見ようと、その事ばかり考えていた。
家に着くと、鍵を取り出してドアを開ける。幼稚園以来の年季の入ったかぎっ子である。
ドアを開けて、玄関から階段を駆け上がる。左手は僕の部屋だ。扉を開けると正面に僕のアルバイト代のすべてを
つぎ込んだ、自慢のMAGI2040が鎮座ましましている。・・・・・はずだった。
ぼくは、止まるまもなく部屋の中の真っ暗な星空に吸い込まれるように落ちていった。
背中から落ちていく僕の目には、急速に離れて行く僕の部屋の長方形に輝くドアが見えていた。
「ばかなああああああああぁぁぁぁぁぁ・・・・・。」
よくいろいろなSFなんかでこういう場面は見かけるけど実際に自分のみに降りかかってくる事なんか考えるわけはない。
そりゃあ、ぼくの千年も後の子孫が体験すればいい事だと思ってた。
しかし僕はすぐにあきらめた。実際我が身に降りかかってみると意外と冷静になってしまうものだ。
嘘だと思ったら試してみるといい。
暫くは飛び込んだ時の勢いで落ち(?)つづけていたのが、次第に勢いが鈍ってきた。
という事は、何か抵抗があるということだ。当たり前だ、現に僕は苦しみもせず呼吸している。
等速度運動にならないという事はここには空気があり、何か引力が働いているんだろう。僕は、「底」に着いたらしい。
移動速度が殆どゼロになったので足を伸ばすと、こつんと床に足が届いた。こっちが「下」らしい。
次第に目が慣れてくる。目の前に寝台のようなものが置いてあり、ブーンと微かな低い振動音が流れている。
目を凝らすと、周囲は物凄い機械の壁になっているようだ。所々に小さなライトが見えるが、よくはわからない。
「こういう時寝台に近づくと大抵は、奇麗なお姫様が寝ているか、二目と見られぬベムがねているか・・・・。」
もしくは、白骨だな、なんて思いながらゆっくりと警戒してじりじりとゆっくと近づく。
だって、いつレーザー光線が飛んでくるか分からないじゃないか。
幸い何事も無く近づくと、そこには赤みがかった長い渦巻く金髪の奇麗な寝顔があった。
柔らかそうな胸の膨らみが、ゆっくりと上下している。女の子だ・・・。
それもとびっきりの美少女だ。長いまつげ、ばら色の頬。形のいい唇。輝くような額。長い首筋。細くて長い指。
まるで、お砂糖と、蜂蜜と、ミルクでできているような完璧な女の子だった。
僕はぼーっとしたまま、飽きずに女の子を女の子を見守っていた。だが、彼女の目が開かれる様子はない。
眠っているのだろうか。
「こ、こういうときは、たいてい王子様のキスで起きるんだよね。でもぼくは王子様じゃないし。あ、でも導かれた勇者って、
パターンもあるよな。でもぼくは勇者じゃないしな。でも、この子を起こさない限りここから出て帰る事もできやしないし〜〜〜。」
僕は一体何を口走ってるんだ?
そのとき後ろから呼ぶ声がした。振り返ると寝ている女の子と同じ子が暗がりの中にぼおっと浮かび上がっていた。
「きみは?」
「あら、意外と落ち着いているのね。」
「今日び、このくらいの事でいちいち腰は抜かしていられないよ。」
「ふうん、意外と文明レベルは高いのかしら。」
「あ、かなり個人の年代によって許容範囲が違うと思うから、その辺は気を付けてね。」
「ふうん、文明レベルが多層構造なのかしら。」
非現実的すぎる物事に直面すると僕の頭は自動的に夢モードに入ってしまうようだ。どこかで、
どうせ夢なんだから、現実の僕はきっと廊下で滑って頭打って気絶してるか、英語の時間に居眠り
してるんだという声が聞こえてくる。
英語の玉平先生は、優しくて寝てるやつを見つけても寝かせといてくれる話せる人だけど、
今日ばかりは早く起こしてくれないかな。
「き、君は誰なのさ。さっするところあそこで眠っている子のホログラムみたいだけど?」
「ま、半分正解というところかな。本体は私であって、あの子の方が、なんだけどね・・・・。」
「え?後のほう何言ってるのかよく聞こえなかったよ?あの子は君なんでしょ・・・・。」
「そうそう、そういう事よ。ストップストップ。あんまり時間も無いのよね。えーとね、こっちの要求を言うから
あんたはそれに応じて欲しいのよ。いい?」
「僕の命に関わらない事だったらたいていは・・・、いやだからといって他の人を傷つけるような事も駄目だよ。」
「あ、それは問題ないわ、あんた個人で十分だから。まずね、あんたの血液と細胞を少しばかり頂きたい事。
別に悪い事には使わないわ。
それから、この星の水を少し貰っていきたいのよ。1万トンくらい。これも何ら変動が出る量じゃないから。
積乱雲を2,3個貰えればいいの。
あとは食用の有機物をやはり1万トンほど。」
「海中のプランクトンみたいな物で良いんだったらいいよ。ただ出来るだけあちこち採取して欲しいね。」
「OK、OK。じゃあ、あなたの指をここに当てて。サインみたいな物よ。」
その子がさしだす小さなお皿みたいなものに指を当てる。ピッと音を立ててそいつは消えた。
「助かったわあ。その星に知的生命体がいる場合、十分事象を理解できるレベルの者を捜して了承を得ないといけないのよ。」
「ふうん、いろいろ面倒なんだね。でも君らみたいなのがいっぱい来たら困るけどね。」
「今のレベルなら問題ないけど、何万隻も来たらちょっとね。でもこの星は結構有名なんだよ。奇麗な星だから。」
女の子はちょっと寂しそうな顔をした。
「僕の細胞をどうするの?」
「細胞は分裂回数が決まっていてそれ以上は条件を整えていても死んでしまう事は知ってる?」
「うん。」
「あのこの細胞はもうそのレベルを超えてしまったので合成細胞で補ってるの。人間の細胞が必要なのよ。」
ホログラムの子はにっこり笑って言った。
「こればっかりは無理矢理って訳に行かないでしょ。」
「けっこう、人道的なんだね。宇宙人って。」
「まあね。まあ、一回補充すれば1000年くらいは使っていけるから。冷凍やら、延命やら、促進やらの組み合わせてね。」
「千年?そんなに持つ物なの?」
「その辺は地球人の医学科学より進んでいるから。あ、DNAやなんかはちゃんと組み替えて使うから君の細胞といっても
全然別の物にして使うから安心してね。じゃあ、ちょっともらうね。細胞。跡はぜんぜん残らないし、痛くも無いから。」
床が割れてテーブルが出てきた。
「その、丸いボールを持って、おなかに当てて。服の上からで良いから。ちょっとそのままで、1,2,3.はいもう結構。」
「これでいいの?」
「うん。これでおしまい。さて、これであなたとはお別れだけど、お礼に3っつの願いを叶えてあげましょう。」
「ええっ。そうかこれがそうなのか!!」
「でも、周囲に影響を与える物は駄目なのよ。ごめんね。」
僕はがっくりした。
「な〜んだ。そう旨い話があるはずはないと思ったよ。」
苦笑するホログラム。
「じゃあね。君はどこから来たのか教えてくれる?」
「ああ!やっぱりあんた見所があるわ!財宝やハーレムが流れたあと、すぐに知的好奇心に振り替えてくる人って少ないのよ。」
今度は、僕が苦笑した。
この平和な日本で、のんびり満ち足りて暮らしているのは僕の精神性や知的レベルの高さを示すわけではないからだ。
飢饉の国で暮らしていれば、僕だって食い物に困らない様にしてもらっただろうし、病気の親兄弟がいたら治療を望んだろう。
「ううん。そういう風に自分を客観的に見ていられるところがいいのよ。」
「え?ぼ、僕の心を読んだの?」
「あ、ごめん。あなたの言葉はわからないから、脳波を受信して解析してるのよ。翻訳機ってそういう仕組みなの。いやだったかな?」
「いや、そうだよね。仕方ない事なら別にかまわないよ。」
でもよりによって、はじめて心を開いた相手が宇宙人か。僕らしいや。でもこんな可愛い子が相手で幸せだったかもしれないな。
ホログラムの子は、ちょっと顔を赤らめた。
「か、可愛い?わたしが?」
「うん、それは保証するよ。もうすぐお別れなのが惜しくてしょうがないくらいだ。今まで僕が見た子の中で一番可愛い。」
どうせ今日でお別れだと思っていたから、僕は大胆になって、心で思った通りの事を素直にしゃべった。
いつものうじうじが嘘みたいに消えて、とってもいい気持ちだった。このままこの子が僕の恋人になってくれたらなあ。
一生可愛がって可愛がって、楽しく暮らすんだけどな。
「あ、あのさ。」
「うん?」
「人間型の宇宙生物って、すごく少ないのよ。だから私はどこへ行ってもそんな事言ってもらった事ないの。」
「へえ、そうなんだ。」
「すごく、うれしい物なんだね。可愛いって言われるのって。」
ホログラムの女の子はにっこり笑った。
とっても素直な、まるで赤ちゃんみたいなあどけなさを感じるほどの笑顔。こういうのを天使の笑顔って言うのかな。
彼女は、真っ赤になった。
「て、天使って、あなたがたにとっては至上の価値を持つ憧憬の対象なんでしょう。そんな尊い物に比べちゃ駄目よ。」
しまった。考えてる事が全部彼女に伝わっちゃうんだっけ。急に自分の顔もカッと火照るのを感じた。
それなのに、僕はとんでもない事を口走っていた。
「ねえ。頼んでもいいかな。」
「うん。どうぞ・・・。」
「僕と、一回だけでいいんだけど、デートしてくれないかな。」
「デートって、好きあった男女が一緒に一日を過ごして、手をつないで歩いたり、唇を合わせたり、生殖行動を共にしたりする事、
もしくはその前段階の準備行動をなすことよね。」
僕は、びっくりして否定した!!
「そ、それはあくまで知識的レベルの事であって、実際に僕くらいの年では初対面でのデートはもっと控えめなもんなんだよ!」
「そうなの?」
「そうそうもっと健全なの!」
あたふたと手を振り、立ったり座ったり、忙しい。何やってるんだろ僕は!
彼女は暫く考えていたけど、意を決したように言った。
「いいよ。デートしましょ。どこへ行くの?どこにでも行くわよ。」
「う、きみはどんなとこに行きたいの?観光旅行的なほうがいいかな。」
「そうね、あなたたちがいつも行くようなところがいいわ。」
「いつも行くところって、学校とか、公園とか、図書館とか、プールとか・・・。」
「うん、あなたがどんな暮らししてるのか、知りたいから。」
変な子だな。僕が他所の星に行ったらもっと面白いところに行きたがるだろうに。やっぱり宇宙人だから考え方が違うのかな?
「さて、じゃああなたのおうちに帰ってもらうわよ!」
ホログラムの子がそういったとたん、パチッと真っ暗になって気がつくと僕は、自分の部屋の前でドアノブに手をかけていた。
ドアをあけると、いつもの僕の部屋だった。僕は部屋の中を見回しながら中に入り、ベッドに腰を下ろした。
「僕、夢を見てたのかな・・・。」
それにしてはやけにリアルな夢だった。眠っている女の子。ホログラムの女の子。
あっ、そうだ。僕の血と細胞を貰うって言ってたな。
僕はシャツをめくり上げて、ボールを当てた場所を確認した。別に何ともない。
「やっぱり、夢だったんだろうな。あんな可愛い子がその辺にいるわけないもんな。」
随分情けない夢を見たもんだ。そんなに欲求不満だったのかなあ。
次の日の朝。
ドンドンドン!! ドンドンドン!!
「起きなさいっ!シンジッ。」
母さんの大声で僕は目を醒ました。いつも物静かな母さんがこんな大声を出すなんて。もしや!
ぼくはいっぺんに目が醒めて、ドアの鍵を飛びつく様に開けた。
「母さん、落ち着いて!父さんに何かあったんだね。どこの警察に連行されたの!?」
「たいへん、たいへんよ!あなたを迎えに外国人の子が来てるのよ!」
「なにをやったの?刺したの?撃ったの?それとも爆破テロ?ただの会社員じゃないとは思ってたんだよ。」
「上がってもらって、今、下で父さんとお紅茶飲んでもらってるわ。シンジあんた一体なにをしたのよ!」
「そうか、婦女子の誘拐だね。外国人の女の子を攫うなんてまただいそれた事をしたもんだ。え?」
「だから、外国の女の子をお父さんがさらって・・・、相手してるから・・・。」
「外国人に知り合いはいないけど。しかも女の子?」
「早くしたくして、下りてきてよ。もうまったくお父さんだけかと思ってたらやっぱり、血は争えないわね、突拍子もない・・・。」
ぶつぶつ言いながら階下に下りて行く母さん。
訳が分からないまま僕は急いで着替えると、下に降りていった。
応接間の入り口に母さんが不安気に立っている。
耳を澄ますと、中からは、英語の会話が聞こえてくる。いつも殆ど話さない父さんの笑い声。
「I'm exhausted from just
riding the train. I wonder how
other people do it. Hahahahaha
!
Whoever said salarymen have it easy? Who
are they kidding? Are you? Hahahahaha!! 」
「なんか、いかにも接待中の日本人の典型みたいな事話してるなあ。」
「お父さんずっとあの調子なのよ。早く助けてあげて。」
僕は覚悟を決めて部屋の中に入った。振りかえる父さんの顔が視野の外にぶっ飛んで消えた。そこにいたのは昨日の女の子だった!
「きっ、ききききみは!!」
「ハイ!シンジ!お招きに甘えて伺いました。」
呆然としてほうけている僕に父さんが言った。
「シンジ、おまえを見直したぞ、こちらのアスカ・ラングレーさんをおまえがチンピラから助けたそうだな。」
そんな話いつのまにでっち上げられたんだろう。アスカって名前なのか。いや、もしかしたら偽名?
「小父様、シンジさんと2人でお話したいんですけど、よろしいでしょうか。」
「父さん、悪いけどいいかな?」
「うむ。問題ない。若い物は若い物同士で話すがよい。」
父さんは会釈をすると部屋を出ていった。
「なんだ、アスカも日本語じゃないか。なんで父さん英語でしゃべっていたんだろ。」
「それは、翻訳機を使うと自分の聞きたい言葉に変換されて聞こえるからなのよ。シンジの父様は私をアメリカンだと
思ったわけ。だから英語に変換されて私の言葉が聞こえたの。だからシンジには日本語で話してたでしょ。」
「なるほど、じゃ外で立ち聞きしてたら・・・。」
「二人が英語で話しているように聞こえるわけ。」
「そりゃあ面白いね。あはははは。」
「ふふふふ。」
ああ、やっぱり本当に可愛いなあアスカは。お日様がそこにあるみたいな笑顔だなあ。
蜂蜜のような色の長い髪。ばら色の頬に深い青の瞳。
白いワイシャツに青い線が2本入った白いベスト。グリーン地のタータンチェックのスカート。
紺色のブレザーにえんじストライプタイ。どこかの高校の制服みたいだった。
「アスカって、本名?」
「ええ、ここだけは本名。元気な太陽という意味らしいわ。」
僕は、じっとアスカの瞳を見詰めた。どうしてこんな事が出来るんだろう。普段は女の子と話をするのも苦手なくらいなのに。
「夢じゃ、なかったんだね。ほんとに君はいたんだね。」
「ええ・・。こうしてあなたと会うためにやってきたわ。シンジ。」
こうして、手を伸ばせば、君の髪に手が届く・・・。僕はよほどぼーっとしていたんだろう。そのままアスカの髪に手を伸ばしていた。
柔らかい髪をなでて、手に取る。さらさらと僕の手の上をこぼれて行く、月の輝きのような細い髪。
そのうちの何本かが僕の指に絡みつく。じっと僕の目を見詰めているアスカの瞳はどこまでもどこまでも続く深い湖のような色の青。
「シンジ。私の事知ってる?私の事憶えてる?」
昨日会ったばかりじゃないか。あ、そういえばこの眠っていた生身のアスカとは初めてだったんだ。
「昨日会った、ホログラムの君も素敵だったけど、こうして目の前にいる本物の生身の君も素敵だね。もうすっかり調子は戻ったの?」
「うん、おかげさまでね。もうすっかり元気よ。あなたの新しい細胞と血液のおかげで。」
「そういえば、昨日よりずっとつやつやしてる感じだね。」
「じゃ、行こうか!」
「え?どこへ?」
「デートよ、デート!あなた、それが目的で私を昨日引き止めたんじゃないの。」
「ああっ、そうだった。しまったこんな格好じゃ。ちょ、ちょ、ちょっと待ってってね、アスカ!」
部屋を飛び出すと、そこに父さんと母さんが階段に腰掛けていた。
「たっ、たいへんだ!今日デートの約束してたんだった。」
「えええええ〜〜〜〜!!この子ったら!そんな大事な事を忘れてたなんて!」
「シンジ、おまえを見損なったぞ。すぐ出かけろ。でなければ帰れ!(どこに!)」
「あなたはまた訳の分からない事を!!!」
大騒ぎの挙げ句、まあ一応デートらしい格好に仕立て上げてもらった。ネクタイが父さんのなのが情けない。
「シンジ、軍資金だ。」
父さんが札を無造作に財布から掴み出して渡してくれた。じゅ、10万はあるよ、これ。
「足りない時はこれを使え。」
ぼ、僕名義のクレジットカードォ〜〜?
「いつの日か、こう言う事もあるだろうと思って作っておいたのだ。暗証番号は1155行け行けゴーゴーだ。」
「感謝はするけどなんだよそれ。」
「限度額は1000万だ。」
「どこにデートに1000万も使う高校生がいるってんだよお!!」
あれやこれやで、どたばたと僕は家を出た。アスカの手をしっかりと握って。
角で振り返ると、父さんと、母さんが、手を振っていた。母さんはハンカチで目を拭き。父さんは敬礼をしていた。
「まったくうちの親って変な人たちだよなあ。」
思わず声に出してつぶやくと、僕は、父さんと母さんに手を振ると大声で叫んだ!
「行ってきま〜すっ!!」
その日、ぼくはそんな気楽な気分で家をでたのだった。アスカと笑い合いながら。
星の彼方に見た夢は/「はじまりのはじまり」
一万HIT記念で連載を開始。
このお話は、10000を見事に踏まれた、たれぞーさんのリクエストによる物です。
たれぞーさんのリクエストは、「とにかくジャンルにこだわらずLASを!」
お応えしてお送りいたします。広大無辺の大宇宙で繰り広げられるアスカとシンジの物語。
今後の展開は?
アスカ:今回の私の役どころはなんなの?これだけじゃあまだ何にもわからないわね。
シンジ:このまま、アスカにさらわれちゃうとか?
アスカ:そして宇宙船で奴隷のようにこき使われる。それもいいかも。
シンジ:ア、アスカったら〜〜。(べそ)
アスカ:冗談よ!冗談!いちいちべそかくんじゃないわよ!私がいじめてるみたいじゃない。
カヲル:いじめていないとでも?アスカくん。
アスカ:でたわね〜、ホモ男。あんたっ、いままでこめどころの話には出てこなかったから安心してたのに。
カヲル:さあ、心境の変化じゃないかなあ。
アスカ:さては、たらしこんだわね。
カヲル:よくまあそういう下品な言葉を知ってるねえ。地球に来たばかりだというのに。
アスカ:天敵を払うためなら、スラングのひとつやふたつ憶えるわよっ。やるっての!
カヲル:フ、暴力は趣味ではないが・・・降りかかるサルは祓わねばならぬというしな・・・。
アスカ:よくいったあ!!そこうごくなっ!!
ガシャーン!!バキドシャ!ボキバリバリ!!ドカンドカン!!ゲシゲシ!!
シンジ:やめなよー、ねえやめなよおー。誰かーっ!!
コメ:まあ、ほっとこうよ。シンジ君、こっちきてお茶でもどうぞ。
まこと:次回までにはけりがついてるんじゃないかな?
コメ、まこと、シンジ:それでは、次回をお楽しみに!!
Mar.13.2000